ハイデガーを読む

 ここではハイデガーについて書いた文章を掲載します。内容の主軸はハイデガーの後期の「存在」の哲学を徹底的に明確に図式化するものです。

はじめに—後期ハイデガー哲学の徹底的明確化

 ここでは難解と言われる後期ハイデガーを、あるいは一般にハイデガーの「存在」の哲学を、極限まで形式化した「最小構成」を論ずる文章を中心に、ハイデガーに関わる文章を掲載している。

 全ての中核になっているのは、『存在と時間』を中心とする、前期ハイデガーの思考の道行きをたどることで、『哲学への寄与』あたりから始まるとされる後期ハイデガーの立場への移行の必然性、および、その立場の構成要素の意義と連関と正当化根拠を徹底的に明確にするという企図である。

 おそらく、後期ハイデガーの理解ということに関しては、これ以上明確に書くことは不可能であるという水準で書けており、後期ハイデガーの思考の正当性と意義の評価は、ここで提出された読解図式に基づいてのみ、正しく始めることができるように思う。

 以下、目次となるが、そのうちで特に読まれるべきものがあるとすれば、次の二つである。

 ハイデガー後期哲学の「最小構成」—「形而上学」概念に注目して
 ジジェクとハイデガー―存在論的差異とその実存的一帰結

目次と内容紹介

1、言葉の不在を持ち堪えること、固有な言葉を待ち望むこと

 言葉の不在を持ち堪えること、固有な言葉を待ち望むこと

 これは「なぜ研究をするのか?」というテーマで書いた小文である。少々格好をつけすぎた嫌いがあるが、自分としては、それなりに納得して書いたつもりであり、また3の文章の理解にも役立つだろう。

2、ハイデガーのいう「存在」とは何か

 ハイデガーのいう「存在」とは何か

 ハイデガーの言う「存在」について私が把握し得たことを、もっとも簡潔かつ単純に述べようと試みた文章。初めに読み、全てを読んだ後にもう一度読んで欲しい文章だと自分としては思っている。

3、ハイデガー後期哲学の「最小構成」—「形而上学」概念に注目して

 ハイデガー後期哲学の「最小構成」—「形而上学」概念に注目して

 ハイデガーの後期哲学の諸概念を、前期の思考から後期の思考への移行の必然性を明らかにすることを通じて、徹底的に整理しようと試みたもの。長大な注も含め、この中で一番内容のある小論で、ここに書かれていることに賛成するにせよしないにせよ、後期ハイデガーを考える上でのたたき台になるようなものになっている。振り返ると、後半部分の大げささが鼻につくが、当時はそう思っていたのだから仕方がない。

4、フロイトの「不気味なもの」とハイデガーの「存在」

 フロイトの「不気味なもの」とハイデガーの「存在」

 精神分析関係の授業のレポートとして書いたもの。主要な部分はほとんど3の文章と被っているが、少々視点を変えて論じている部分もある。その主要部分に申し訳程度にフロイトとのつながりをつけたもので、最後の部分で面倒になりうまく議論を組み立てるのを放棄したため、少々尻切れとんぼな内容になってしまっているのが難点であり、正直、3の文章以上の価値はほとんどない。

5、ハイデガー『技術への問い』を巡って

 ハイデガー『技術への問い』を巡って

 本屋で『技術への問い』の平凡社ライブラリー版を見つけて買って読んだことをきっかけとして書いたもの。その技術論が「Gestell」という言葉で描き出そうとした問題意識にはそれなりに共感するところはあるが、その技術論が持っている「見方」に関しては昔からあまり好きではないので、それへの違和を表明する内容となっている。

6、ジジェクとハイデガー―存在論的差異とその実存的一帰結

 ジジェクとハイデガー―存在論的差異とその実存的一帰結

 以前に研究していたジジェクとの関連を明示したもの。3の文章の議論の展開を不十分ながら通時的な仕方で追いかけたもので、『形而上学とは何か』の行き詰まりから、後期の諸契機がいかに要請され導出されてくるのかを焦点とする。

 また2人の間の最大の差異がそこに存すると目されるジジェクのラカン的倫理、「欲望を諦めるな」という倫理についても不十分ながら論じられている。私にはこれだけが唯一の真正なる倫理であるように思われる。そもそも今時文系大学院生であることを支えうる倫理が他にあるだろうか。このことだけで現に院生である私にとっては他の倫理は全て嘘くさく見えるのである(※当時の言葉ママ)。

おわりに―「学」から「愛」への還帰としての「形而上学の克服」

 おわりに―「学」から「愛」への還帰としての「形而上学の克服」

 最後ということで、いつもながら、「世界の中心で愛を叫んだ」人になってしまっている。
 

その他の論考

フッサールとハイデガーの問題構成の差異と連関

フッサールとハイデガーの問題構成の差異と連関

ハイデガーの「存在論的差異」とフロイトの「性的差異」

ハイデガーの「存在論的差異」とフロイトの「性的差異」

Scroll Up