本章では、「句」と「節」について説明します。「英文法の地図」でいうと、下2/3の一番左側の部分です。
7-1、「句」
さて、句とは「二つ以上の単語の集まりが、一つの品詞として働いているもの」です。
He is Tom.
ここには、「句」は存在しません。Heという「一つの」単語、isという「一つの」単語、Tomという「一つの」単語が、それぞれ、「名詞・動詞・名詞」として働き、SVCを作っています。では、以下の例文はどうでしょうか?
To study foreign languages is to know your native language deeply.
こうなると話が違ってきます。Vは依然として「is」ですから、文全体はSVC、「is」の前にあるものがS、後ろにあるものがCです。
ということは、「To study foreign languages」という「四つの単語のまとまりが、一つの品詞」、今回の場合は「名詞」として働き、Sとなり、「to know your native language deeply」という「六つの単語のまとまりが、一つの品詞」、こちらも「名詞」として働き、Cとなっているのです。
どちらも、「二つ以上の単語の集まりが、一つの品詞として働いている」ので、「句」であり、さらに「名詞」として働いていますから、「名詞句」と考えるのです。
全体の意味は「S = C」、「「外国語を学ぶこと」は「母国語を深く知ること」である」となります。
7-2、「節」
続いて、以下の文を考えてみましょう。
What she knows is **that he is already dead.
ここでも、文の中心となるVは依然として「is」ですから、文全体はSVC、「is」の前にあるものがS、後ろにあるものがCです。
つまり、「What she knows」という「三つの単語のまとまりが、一つの品詞」、今回の場合は「名詞」として働き、Sとなり、「that he is already dead」という「五つの単語のまとまりが、一つの品詞」、こちらも「名詞」として働き、Cとなっているのです。
全体の意味は「S = C」、「「彼女が知っていること」は「彼がすでに死んでいるということ」だ」です。
ただ、これらは「句」ではなく、「節」と呼ばれています。「名詞節」ですね。
7-3、句と節の違い
さて、もちろん、「句と節」が区別されているのは、両者が何か本質的な点で異なり、区別しておいた方が、さまざまな面で都合が良いからなのです。両者の違いはなんでしょうか?
句×2:To study foreign languages is to know your native language deeply.
節×2:What she knows is that he is already dead.
それは「句」には「sv」が含まれていないのに、「節」には「sv」が含まれているということです。
(文の中心となるSVとごっちゃになるといけないので、「節」に含まれるSVは、ちっちゃく「sv」と表記します。結構、イイ感じの表記だと思うのでしょうが、どうでしょうか?)
実際、「What she knows」には、「she knows」というsvが含まれていますし、文の中心となるSVと同様に「三人称単数のS」まで付いていますね。
「that he is already dead」についても同様で、「he is」というsvが含まれ、be動詞が、heという主語に合わせて「is」と活用されています。
このように「主語」や「時制」に合わせて動詞が、文の中心となるSVと同様に、変化・活用していること、これが、svが存在していることの目印になるのです。
もっと決定的に言えば、第2部で論じた「時制・助動詞・仮定法・受動態」のようなVの形に関する様々な変化が起こるVをうちに含んでいるものが「節」なのです。
他方の「句」の例である「to + 動詞の原形」の方は、SVと同様の形での、「主語や時制に合わせた変化・活用」は存在していません。助動詞も付けられなければ、仮定法もありません。
以上が「句」と「節」の違いです。「節」とは、「句」の定義を満たし、かつ、そのうちに「sv」を含むもののことなのです。