受動態は、「~される」という「受け身」の意味を表す表現で、反対語は「能動態」です。
第2.5章で「命令文・感嘆文・疑問詞疑問文」を解説した際、「平叙文」をどのように操作することで、これらの表現が生み出されるかに注目するべきだと述べました。
5文型そのものが平叙文に即して考えられているので、「平叙文」と対応させないと、5文型から、それぞれの表現を理解することが困難になるからです。
それと同じことが「受動態」にも当てはまります。5文型は「能動態」を基準に考えられているので、絶えず、能動態との対応を考え、能動態に立ち返ることではじめて、5文型から「受動態」を理解することが可能になるからです。
実際、幸いなことに、5文型の理論、というより、英語の文構造の徹底的な一貫性のおかげで、私たちは「受動態」を「能動態」に一定の操作を加えたものとして理解することが可能です。
「受動態」を「能動態」に一定の操作を加えたものとして把握することで、「受動態」のままでは文意が取れない場合には、「受動態」を「能動態」に戻して理解するという方法も利用可能になるのです。
そういうわけで、受動態に出会ったら、常に「能動態」の形に戻して考えることが、はじめのうちは必要なのです。
さて、では具体的に受動態の作り方を考えていきましょう。
出発点は能動態です。SVOは「SがOをVする」という意味です。これと同じことを受動態で表現すれば「OがSにVされる」となります。
そう、受動態とは、「能動態で目的語Oだったものを主語Sにして書き換えた」ものなのです。
そして、このことは覚える必要がありますが、受動態では、Vの形が「be + V p.p」になり、もとの主語Sは「by S」と書かれることになります(特にいう必要がなければ省略されます)。
Tom killed Jack. (SVO:トムがジャックを殺した)
Jack is killed by Tom. (ジャックはトムに殺された)
以上のことから、そもそも第1文型SVと第2文型SVCには受動態が存在しないこともわかるでしょう 。それらには受動態で主語になるべき、目的語Oがそもそも存在しないからです。
すると、第4文型は受動態が2種類存在することも予測できるはずです。ただ、実際には、第4文型を受動態にすることはかなり珍しく、特に、O2を主語とした受動態は滅多にありません。
5文型(の派生形)に関しては、SVO to Vの受動態(→ O is V p.p. to V)の形はしっかり見抜けるようになってほしいと思います。
I was asked to call Mary by Tom.
私はトムにメアリーに電話するよう頼まれた。
↑
Tom asked me to call Mary.(SVO to V)
トムは私にメアリーに電話するように頼んだ。