ここでは時制を扱います。英語は、Vの形をさまざまに変えることで時間的な違いを表現します。
過去・現在・未来の基本時制があり、それに対応する形で、進行形と完了形にも三つの種類があります。それらは極めて厳密に対応しているので覚えやすいでしょう。
例えば、過去は「過去形」であらわし、それに応じて、過去進行形は「be動詞の過去形 + Ving」であり、過去完了形は「haveの過去形 + V p.p.」なのです。
Vの形に徹底的に敏感になり、例えば、isとwas、あるいは、be Vingとhave V p.p.との形の違いから、そこで表現されている時間的な違いを瞬間的にかつ「正確に」感じ取れるようになることが、時制の学習の目的です。
この表がまずはちゃんと頭に入っていることが極めて重要です。本章では、「基本時制」「進行形」「完了形」の順で簡単にポイントをさらっていきます。
3-1、基本時制
現在形
現在(の状態や習慣)は現在形で表します。現在形は、動詞の原形(V)と同じ形をしています。主語が三人称単数のときは、動詞にsがつくことに注意しましょう。
I play soccer.
My brother plays soccer.
過去形
過去のことは過去形で表します。過去形は、Vedが多いですが、基本的な動詞ほど不規則変化(go-went-goneなど)も多いので、徐々におさえていきましょう。
I played soccer.
My brother went abroad.
未来
未来のことは、will Vかbe going to Vで表します。be going to Vの方が、しっかり予定として定まっているというニュアンスが強いです。
I will play soccer.
I am going to play soccer. (←試合などの予定がすでにあるというニュアンスが出る)
3-2、進行形
進行形は、「be + Ving」の形で、まさに進行中の動作を表現します。その中で「現在」進行形は、「現在」進行している動作を表現します。
ここでみなさんは「え、現在形も現在進行している動作を表すんじゃないの?」と思うかもしれません。「現在形」と「現在進行形」の違いを簡単に学んでおきましょう。
その前提として、「動詞」の定義が「動作や状態を表す言葉」とされ、「動作動詞」と「状態動詞」に分けられると言われていたことを思い出しましょう。しかし、そもそも、なぜこんな「区別」を考え出す必要があったのでしょうか?
それは、この区別によって、時制に関して、動詞に存在している、ある違いをうまく説明できたからなのです。
その違いの第一が、普通「進行形にできない動詞」があるということです。それが「状態」動詞です。なぜ「状態」動詞は進行形にできないのでしょうか。
× She is resembling her mother. (resemble:「似ている」は状態)
それは「状態」動詞は、状態として、その中に時間的な広がりを含意しているために、「いままさに = 一時性」を意味する進行形とは相性が悪いからです。
逆に、そもそも一時的なものである「動作」を表す「動作」動詞は、進行形と相性がよいのです。
◯ He is running on the ground. (「走る」は動作)
ただ、ここで逆の疑問が出てくることにも注意してください。「動作」は本来一時的なもので、その一時的な動作を表すのには「進行形」がよい。だとすると「動作」動詞を現在形で使うとどうなるのでしょうか。
答えは、「習慣」を意味するようになるということです。以上の事態を、以下のような表で整理しておきます。現在形は、進行形に比べて、時間的な広がりがあるのです。
現在進行形の場合、「be + Ving」は「am・is・are + Ving」です。
I’m coming!
He is running.
You’re kidding!
過去のある時点で進行中の動作を表す、過去進行形の場合、beが過去形になるので「was・were + Ving」です。
I was running then.
You were lying at the time.
未来のある時点で進行中の動作を表す、未来進行形の場合、willがついて「will be + Ving」です。
I will be working at three this afternoon.
「be + Ving」という進行形の基本の形に、基本時制の「過去・現在・未来」を組み合わせることで、三つの進行形の時制、過去進行形・現在進行形・未来進行形が生まれてくるという規則性を理解しましょう。
また、過去進行形や未来進行形は、その「一時性」を表現するため、特定の時間を表す表現と一緒に現れることが多いことに注意しておきましょう(上で言うと、then、at the time、at three this afternoon)。
3-3、完了形
完了形は、「have + V p.p.」です。もともとの形は「have + O + V p.p.」、つまり、「SVOC」の第5文型を使った「OをV p.p.された状態で持っている」という表現だったのですが、いまでは一個の時制にまで発展しました。
I have my homework finished. 私は私の宿題を終えられた状態で持っている。
(かつてあったはずのSVOCの文)
↓
I have finished my homework. 私は宿題を終えた。(現在完了形)
「OをV p.p.された状態で持っている」わけですから、視点はあくまで「持っている」現在にあるのですが、「V p.p.がなされた」過去にも関心が広がっています。
こうして完了形は「過去から現在への時間の広がりを表現する」といわれるのです。
この「OをV p.p.された状態で持っている」から始まった現在完了形の現在の意味の広がりを分析すると、「継続・経験・完了」という三つの意味に分類できるとよく言われています。
3-3-1、継続(ずっと〜している)
I have lived in Tokyo for ten years.
私は東京に10年間住んでいる。
We have known each other since ten years ago.
私たちは10年前からお互いを知っている。
「ずっと〜している」というわけなので、期間を表す表現や始点を表す表現と相性が良いのが特徴です。
「for A:Aの間」「since A or SV:A以来 or SがVして以来」などが、その最たるものです。
for は「前置詞」なのに対して、sinceは「前置詞」でも「接続詞」でも使えること、forは期間を表すので、後ろには「期間を表す言葉(ten years)」が来るのに対して、sinceは始点を表すので、後ろには「過去のある時点を表す言葉(ten years ago)」が来ることに注意しましょう。
3-3-2、経験(〜したことがある)
Have you ever been to Hawaii?
いままでにハワイに行ったことはありますか。
I have never been abroad.
私は海外に一度もいったことがありません。
Have you saw the movie yet?
あなたはもうその映画を見ましたか。
I have not seen it yet.
私はそれをまだ見ていません。
I have seen it twice!
私はそれを二回も見ました。
「〜したことがある」ということなので、肯定文では「before:かつて」「once、twice、three times…:〜回」がよく用いられます。
否定文では「never:一度も〜ない」「yet:まだ(〜ない)」、疑問文では「ever:いままでに」「yet:もう(〜したか)」などがよく用いられます。
3-3-3、完了(〜したところだ)
I have already done my homework.
私はすでに宿題をやり終えました。
I have just got back home.
私はちょうど家に戻ったところです。
「〜したところだ」ということなので、「just:たったいま」「already:すでに」とよく使われる。
現在完了形は、過去から現在への広がりある時間を表現するが、過去完了形と未来完了形は、それぞれ「過去のある時点」「未来のある時点」までの広がりのある時間を表現する。
それぞれ、「had + V p.p.」「will have + V p.p.」と、これまた基本時制との組み合わせで規則的に作られていることに注目しましょう。
「had + V p.p.」には、「完了形」独特の意味ではなく、単に過去のある時点よりさらに過去のことを表す「大過去」という用法もあることに注意しましょう。