続いては「名詞節」です。「英文法の地図」で言えば、一番左の中段です。
名詞節とは、地図の「節」の定義通り、「二つ以上の単語から成る、SVを含むまとまりが、全体で名詞として働く」場合です。
名詞となるわけですから、これも地図にある通り、S・O・C、そして前置詞の目的語として働くことができ、またそのどれかとして働かなければなりません。
「名詞節」には、本章の副題になっている4つの場合が存在しています。一つ一つみていきましょう。
目次
11-1、 節を見る視点
これから節をなす語を学習していきます。その時は三つのことに注意してください。
(1)その節は文全体の中でどんな役割を果たすのか。何節なのか。要するに、名詞節・形容詞節・副詞節のどれなのかは絶対におさえる必要があります。
(2)節をなす語が節に付け加える意味、「because sv」なら「svだから」となり、「だから」という「理由」の意味を付け加える。このように各語の意味を把握していく必要があります。
(3)節の内部構造。例えば、関係代名詞なら、先行詞と同じ名詞が関係代名詞に代わって前に出ているため、節の内部で名詞が欠けています。そのような各節の内部構造の仕組みに注意しなければなりません。
逆に言うと、この三点にだけ注意していれば節の学習に関しては大枠問題ありません。たった三つだけなので、そこに関心を集中し、攻略してください。
11-2、接続詞
接続詞と関係詞の違いについて述べたことを覚えているでしょうか。どちらも、文と文を、一方を従属節に変えることで接続しますが、関係詞はそれに加えて「節の中でなんらかの要素の代わり」をします。
このことは、関係詞節の内部では、5文型の構造に関わる変化があるということを意味します。実際、関係代名詞では、関係代名詞に代わった先行詞と同じ名詞が欠けているのです。
逆に言うと、単に「文と文をつなげる」だけの接続詞の場合は、節の内部にはなんらの構造変化がなく、5文型の構造をそのまま保った文、「完全文」があるだけです。
このことは、接続詞の場合、先の(3)の節内構造の観点を考慮する必要が全くないことを意味します。(1)は、本章の場合、「名詞節」なので、あとは(2)の意味で分類すればいいだけです。
名詞節を作る接続詞は三つしかありません。「that」「if」「whether」です。
11-2-1、that:平叙文を名詞のかたまりに変える「ハコ」
thatは、「平叙文(肯定文と否定文)」を名詞のかたまりに変える「ハコ」で、それ自体にはなんの意味もありません。強いて言えば、「ということ」です。
that節は名詞節なので、S・O・Cになります。前置詞の目的語という用法に関しては、「in that sv」「svという点で」という表現以外では使われません。
それぞれに例文をあげておきましょう。
彼は狂っているということは広く知られている。
英語には、長い要素を文の後方に置きたがるという性質(End-Weight:文末重心)が存在するので、that節が主語となる場合、多く、形式主語のItが文頭に置かれ、that節は文末に置かれます。このItはthat節を指し、それ自身には全く意味がないことに注意してください。
彼は狂っているということは広く知られている。
私は彼が日本を偉大な国にしてくれると思う。
問題は私たちが少ししかお金を持っていないということです。
この二つの国は、一方が大きな人口を持ち、他方が小さな人口を持っているという点で、異なっている。
11-2-2、ifとwhether:YES/NO疑問文を名詞にする
「That」が「平叙文(肯定文と否定文)」を名詞にかえるとすると、「YES/NO疑問文」を名詞化する表現もあるはずです。それが「whether」と「if」です。
whetherは、S・O・C、そして前置詞の目的語になれる万能選手ですが、ifはOの場合にしか使えません。
Whether we will win or not depends on your effort. (主語S)
私たちが勝つかどうかは、あなたの努力にかかっている。
I don’t know whether [if] he is still alive. (目的語O)
私は彼がまだ生きているかどうか知らない。
The problem is whether he will pass the exam. (補語C)
問題は彼が試験を通過するかどうかだ。
There is an argument about whether we should go or not. (前置詞の目的語)
私たちが行くべきかどうかについては議論がある。
11-3、間接疑問
ここまで「平叙文」を名詞化する「that」、YES/NO疑問文を名詞化するwhether/ifと来たのですから、次は「疑問詞疑問文」を名詞化する存在が気になってくるのが人情でしょう。そんな方法はあるのでしょうか。
もちろん、存在します。それがいわゆる「間接疑問」です。これは極めて簡単です。疑問詞の文を、疑問文の語順から、平叙文の語順に戻せば、それで「名詞節」として使えるようになるのです。
節は、(1)何節か、(2)意味、(3)節の内部構造、の観点に注目して整理していくべきだったのでした。
(1)名詞節
(2)はそれぞれの疑問詞の意味「何(what)、いつ(when)、どこ(where)…」
(3)疑問文を平叙文の語順にしたもの
ここで新しい事項は(3)なので、それを中心に解説していきましょう。
ここで、第2.5章の「疑問詞疑問文」を思い出してください。疑問詞に「疑問代名詞・疑問副詞・疑問形容詞」の三種類があったことを覚えているでしょうか。
この「疑問◯◯」の◯◯にはいる「代名詞・副詞・形容詞」とは、その疑問詞が「なんの代わりをしているか」を指し示しています。以下の例をしっかりと見ておいてください。
Tom carried a big suitcase in the Santa street yesterday.
→ What did Tom carry ◯ in the Santa street yesterday?
Whatは目的語 a big suit caseの代わり→「疑問代名詞」
→ Who ◯ carried a big suitcase in the Santa street yesterday?
Whoは主語Tomの代わり→「疑問代名詞」。主語が疑問詞になるときには、疑問文の語順にはならない。
→ Where did Tom carry a big suitcase ◯ yesterday?
Whereは副詞句「in the Santa street」の代わり→「疑問副詞」
→ When did Tom carry a big suitcase in the Santa street ◯ ?
Whenは副詞yesterdayの代わり→「疑問副詞」
→ Which suitcase did Tom carry ◯ in the Santa street yesterday(,a big one or small one)?
Whichはsuitcaseにつく「形容詞」→「疑問形容詞」(a bigの代わり)「疑問形容詞」はそれがつく名詞を文頭に連れ出す。
さて、これらを間接疑問にしていきましょう。間接疑問にするとは、これらを名詞節にして、文の一部に、SやOやCとして埋め込むことを意味します。その過程で、疑問の語順を平叙文の語順に直すのでした。今回は、第4文型の動詞tellのO2として使ってみましょう。
Please tell me what Tom carried in the Santa street yesterday.
↑what did Tom carry
Please tell me who carried a big suitcase in the Santa street yesterday.
↑そもそも疑問文の語順になっていないので変化なし
Please tell me where Tom carried a big suitcase yesterday.
↑where did Tom carry
Please tell me when Tom carried a big suitcase in the Santa street.
↑when did Tom carry
Please tell me which suitcase Tom carried in the Santa street yesterday.
↑which suitcase did Tom carry
11-4、関係代名詞what
関係代名詞whatについても、(1)(2)(3)の観点から整理してみましょう。
(1)名詞節
(2)意味:「もの」「こと」
(3)間接疑問whatと同じ
関係代名詞whatについていろいろな説明方法がありますが、以上の整理から、間接疑問の疑問代名詞whatの「別の解釈の仕方(=別の意味)」と捉えても良いでしょう。
つまり、「間接疑問」の場合、「何」という疑問の意味を含むのに対して、関係代名詞のwhatは「もの」「こと」という意味になるのです。
どちらでも意味が通れば、どちらでもいいですし、一方しか意味が通らなければ、そちらの解釈をとる。ただ、一般的に言えば、「関係代名詞」で解釈した方が自然になることの方が多いようです。
I don’t know what you want.
「間接疑問とみる」→「私はあなたが何を欲しているのか知らない」
「関係代名詞とみる」→「私はあなたが欲しているものを知らない」
→どっちも不自然ではないので、どっちでもOK!
What is important is to do your best.
「間接疑問とみる」→「何が重要かは、ベストを尽くすことだ」→?
「関係代名詞とみる」→「重要なことはベストを尽くすことだ」→◯
→関係代名詞だけが自然なので、そちらを取る!
I asked him what happened then.
「間接疑問とみる」→「私はその時に何が起こったのかと彼に尋ねた」→◯◯
「関係代名詞とみる」→「私はその時に起こったことを彼に尋ねた」→◯
→「尋ねた」なので、間接疑問でとる方がよりよい。
関係代名詞のwhatは、「こと」「もの」と訳すため、the thing which…と同じ意味となります。そのため「what = the thing which」なのだから、このwhatは「先行詞を含んだ関係代名詞」だと言われます。
関係代名詞節は普通「形容詞節」です。それが修飾している「先行詞 = 名詞」を含むと、当然、「名詞節」となるわけです。
11-5、複合関係詞
さて、複合関係詞という、ややお化けのような名前を持った奴らも存在しています。
whatever、whichever、whoever、whomever、wherever、whenever、howeverといった「ever」な奴らのことです。
複合関係詞にも、「複合関係代名詞」「複合関係形容詞」「複合関係副詞」があります。それぞれに属するものと、それが何節になるかを整理しておきましょう。
・複合関係代名詞:whatever、whichever、who(m)ever → 名詞節 or 副詞節
・複合関係形容詞:whatever、whichever → 名詞節 or 副詞節
・複合関係副詞:wherever、whenever、however → 副詞節
さて、名詞節になるのは「複合関係代名詞」と「複合関係形容詞」なので、ここではそちらを扱います。(1)何節か、(2)意味、(3)節内構造、の観点から整理していきましょう。
(1)名詞節
(2)「~なものはなんでも」「~なものはどちらでも」「~なものは誰でも」
(3)「疑問代名詞・疑問形容詞」「関係代名詞・関係形容詞」などと同様
先に、関係代名詞whatが「the thing which…」だと説明しました。それと同じように言えば、「なんでも」「どちらでも」「誰でも」という意味を含むこれらは、以下のように書き換えられます。
・whatever:anything which… 「…なものはなんでも」
・whichever:any one which… 「…なものはどちらでも」
・who(m)ever:anyone which… 「…な人は誰でも」
例文を見ていきましょう。
I will give you whatever you want.(SVO1O2のO2)
あなたが欲しいものはなんでもあげるつもりです。
You can take whichever you like. (SVOのO)
どちらでも好きなものをとってよいです。
This country opens its door to whoever wants to come in. (前置詞toの目的語)
この国は、入国したい人なら誰にでも門戸を開いている。
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第10章 名詞句 To 不定詞(1)・動名詞
以降は工事中。