第10章 名詞句 To 不定詞(1)・動名詞

 さて、「英文法の地図」の下2/3を、「まとまりの働き方」に即して、順々に見ていきましょう。一番左上から始めます。

 すなわち、「名詞句」です。言い換えれば、「二つ以上の単語から成る、SVを含まないまとまりが、全体で名詞として働く」場合です。

 地図を見れば一目でわかることですが、「名詞」として働くということは、文全体の中で、主語S、目的語O、補語C、そして、「前置詞の目的語」のどれかとして働くことができる、逆に言えば、そのどれかとして働かなければならないということです 。

10-1、to不定詞

 to不定詞、つまり「to V」は、「Vすること」という名詞として働くことができます。ということは、S、O、Cになることができるということです。

 ただし、「前置詞の目的語」にはなることはできません。これは「in to V」や「for to V」などは、前置詞が重なっているように見え、不格好であることに理由があるのでしょう。

 さて、S・O・C、それぞれの事例につき、例文をあげておきます。

To wake up early is important for your mental health. (主語S)
朝早く起きることは、あなたの精神的健康にとって重要である。

I decided to go abroad. (目的語O)
私は海外に行くことを決めた。

To see is to believe. (主語Sと補語C)
見ることは信じることだ(百聞は一見にしかず)。

10-2、「疑問詞 + to 不定詞」

 「疑問詞 + to 不定詞」とは、「what to do」「where to go」「how to play the baseball」などです。

 基本的に「疑問詞 + to V」は、一般的に「何を(どこへ・いつ…)Vしたらよいか(するべきか)」という意味になります。「how to V」は、「いかにVしたらよいか(するべきか)」なので、「Vする方法」という意味になります。

 名詞句なので、S・O・C、そして(「to V」とは違い)「前置詞の目的語」にもなります。逆に言うと、必ず、このどれかとして働いている必要があります。それぞれ一つづつ例をあげておきましょう。

Where to go on the next Sunday is not decided. (主語S)
「日曜日にどこへ行くかは、決まっていない」 
「疑問詞 + to V」を主語にするのは、あまり見ない、やや不自然な構文。

I don’t know what to do. (目的語O)
「僕は、何をすればいいのか、分からない」

The problem is when to return to Japan. (補語C)
「問題は、いつ日本に戻るかだ」

They talked about how to solve the problem. (前置詞の目的語)
「彼らはその問題を解く方法について話あった」

10-3、動名詞

 動詞にingをつけて、Vingにすることで、「Vすること」という意味の「名詞」として使うことができます。これを「動名詞」といいます。「動詞を名詞化」するから「動名詞」というわけで、分かりやすい命名です。

 名詞なので、S・O・C、「前置詞の目的語」になることができ、そのどれかとして働かなければなりません。

 また、もともと動詞なので、「to不定詞」と同様に「意味上の主語」「時制」「否定」の問題も存在します。

 これまた例文をあげておきましょう。

Seeing is Believing. (主語Sと補語C)
見ることは信じることだ(百聞は一見にしかず)。

I enjoy playing soccer. (目的語O)
私はサッカーをすることを楽しむ。

He is proud of being rich. (前置詞の目的語)
彼はお金持ちであることを誇りに思っている。

 「意味上の主語」「時制」「否定」についての例文もあげておきます。

He insisted on my [me] going.
彼は私が行くことを主張した。

 不定詞と同様、主節の主語Sと、動名詞の意味上の主語が異なる場合のみ、明示する。明示の仕方は、「所有格」or「目的格」。不定詞は「for +目的格」 だったことを思い出しておこう。

He is proud of having been rich.
彼はお金持ちであったことを誇りに思っている。

 不定詞と同様、主節の動詞Vより、以前のことを表現する場合に、完了形と組み合わせて、完了動名詞「having V p.p.」(完了形のhaveのあとは過去分詞!)とする。不定詞は「to have V p.p.」だったことを思い出そう。先の現にお金持ちな例文に比べて、非常に寂しい感じの意味になる。

He is ashamed of not being rich.
彼はお金持ちでないことを恥じている。

 不定詞と同様、否定する場合はnotを前に置く。

 「意味上の主語」「時制」「否定」に関しては、同じく「準動詞」、つまり、「動詞の形を少し変えることで、動詞を他の品詞として働かせたもの」である「to不定詞」との類似性が大きいです。

 意味上の主語は主節の主語と違う時のみ書く(書き方は違う)、時制は主節より過去の場合にhaveを入れる、否定するには前にnotを置く。

 学習のコツは、to不定詞と動名詞のように、形は異なるけれども、実際には共通点の多いもの(共通点が多いから「準動詞」としてまとめられている)を、まったく別個のものとして覚えるのではなく、一緒に覚え、暗記量を減らすことです。似ているものはつなげて考えることが、学習の鉄則なのです

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第9章 接続詞と関係詞
第11章 名詞節 接続詞(1)、間接疑問、関係代名詞(1)、複合関係詞(1)

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