第6章 序論のまとめ

 序論では、「語源を考えるとはどういうことか」ということについて具体例として「refuse」を語源を使って理解するところから始まって、「接頭辞・語根・接尾辞」を使った単語のネットワーク化の一端を体験してみました。

 少しは高校生の方に「教養のようなもの」を身につけてもらおうかという意図のもと(基本的には個人的な遊び心の産物ですが)、いろいろな方向に話を展開させながら、幾つかの重要な単語・語根・接頭辞を紹介してきました。

 幾つかはしっかりと記憶に焼きついたでしょうか?

 confuse、complete、social、complex、associate、diffuse、reject、rebel、revolt、resist、repress、animal、arrival、derive、capital、disposal、proposal、revival、survival…。

 これらの単語の意味と、そこに含まれる語根と接頭辞がマスターできていれば、まずは語源による単語学習の第一歩が踏み出されたと言えるでしょう。

 次章以降は、重要な接頭辞・語根・接尾辞一つ一つに焦点を絞り、重要単語の意味をさらっていきましょう。

 最後にもう一つ。本教材では、どうもアニメやネット文化などの「サブカルチャー1)culture:文化。これは動詞「cultivate:耕す」と関係しています。文化とは、人間の心を耕し育てるものなのです。ちなみに、cultureを個人に使うと「教養」という意味となります。自分の心をしっかりと耕し、いろいろな実りを育むこと、それが「教養」だというわけです。」と、哲学といった、いわゆる「ハイカルチャー」を往復していくスタイルが優勢です。

 「サブカルチャー」の「sub」は、もちろん、「下」を表す接頭辞なので、「哲学」といった「高尚な」文化、つまり、「ハイ」なカルチャーとはまさに正反対です。本教材は、その意味で正反対のものの間を往還していくのですが、このような運動性は、もちろん、私の趣味によるところが大きいものの、それなりに意図がないわけではありません。

 つまり、「サブ」であれ、「ハイ」であれ、どこか一つのところに閉じこもってしまうと、思考は停滞し、非生産的になりがちなように思うのです。

 絶えず、二つの一見したところは相容れないものの間を往還すること、おそらくは、そのことのうちからこそ、なにがしか生産的な思考というものが、もしも、そもそも思考に生産的なものなどが存在するとすればですが、生まれてくるのだと思うのです。

 本テキストのタイトルは、ご存知の通り「パラ単」ですが、私からすれば、ひょっとすると、こういう思考の、絶えず別のものにずれていく運動こそが「パラ」ということの本質なのではないかとも、思うのです。そのことは、次の章のはじめ、「接頭辞para」の項目で考えてみましょう。

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第5章 接尾辞「al」から始まるネットワーク
(2)重要接頭辞編

目次→「パラ単:語源と連語からみる英単語」トップページ

References   [ + ]

1. culture:文化。これは動詞「cultivate:耕す」と関係しています。文化とは、人間の心を耕し育てるものなのです。ちなみに、cultureを個人に使うと「教養」という意味となります。自分の心をしっかりと耕し、いろいろな実りを育むこと、それが「教養」だというわけです。
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